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kirakira na toki

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Crescent...2
2006年 12月 19日 |
「悠基、今すぐ帰ってきて!」
「玲那、ごめん…仕事なんだ。まだ帰れないよ」
「ダメ!今すぐじゃなきゃ、私どうにかなりそう…」

初めての主婦業、結婚後間もなく予定外の妊娠…
私は周辺と自分の身体の変化に、パニックになっていた。

1人でいると、本当にどうにかなってしまいそうで…
怖くて泣いて過ごしていた。

「玲那、分かってくれ…今は・・・」
悠基の言葉を最後まで聞くことなく、電話を切った私は、行く宛もなく一人ぼっちの
真っ暗な部屋を出た。





1人で彷徨う夜は、寒くて寂しくて…
でも、どうしてもあの部屋に帰ることが出来ずにいた。

私は、ふと立ち寄った公園のベンチで夜を明かしていた。
見上げると、空には満月。
柔らかい光を降らせている。

翌朝早く、部屋に戻った私は悠基を探した。
「悠基?帰ってる?」
ベッドは整えられたまま、悠基が居ないことを語っている。
「悠基?帰ってないの?」
見回す部屋の中、留守電を知らせる点滅を見つけた。

ピーッ0:47デス
「玲那、どこにいるの?帰ってるなら出て…」
ピーッ1:23デス
「玲那、どこにいる?君を探しているんだ。帰ったら電話して…」
ピーッ3:11デス
「×××病院です。星野悠基さんのお宅でしょうか?悠基さんが、事故にあわれました。至急こちらまでお越しください。住所は・・・・・・」

悠基さんが、事故にあわれました

事故?悠基は…だって、私を探しているって留守電に?
私は震える手で、三沙子に電話していた。
「三沙子?悠基が事故だって。いたずら電話がね…」
「玲那、落ち着いて聞いて…私も、病院に来てるわ。玲那のお母さんから電話があったから。どこに行ってたの?今すぐタクシーで来るのよ。迎えに行こうか?」
「だって、いたずらじゃ…」
「しっかりして、玲那!」
手から滑り落ちた受話器が、音をたてて床に落ちる。

次の瞬間…私は、家を飛び出していた。
by pink_pink_opal | 2006-12-19 16:30 | Crescent |