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2007年 10月 31日
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「違う!」
いきなり声を荒げたビョンホンに、ハルカは身を竦めた。
「そうじゃない・・・違うんだ・・・」
ライトアップされた桜を見上げ、視線を彷徨わせたビョンホンは
大きく息を吐いて呼吸を整えた。
「君がいないことが、僕のためになる?」
「・・・・・・」
「どうしてそんなことを?・・・君は、何も分かってない」
「・・・・・・」
視線をそらすハルカに、いつもの低く静かな声でビョンホンが語りかける。
「春になるといつも思い出すんだ。この乾いた空気、甘ったるい春の匂いに。昔・・・僕は、大切なものを手放した」
「?」
「あの頃の僕は・・・大人の事情も分からず、大切な人に何も言えないまま見送ったんだ」
「子供だから・・・何もできないのは、当たり前だけれど・・・」
「何かを手放す辛さは、その時も・・・それからも十分に味わってきた。だから・・・」
「放さない・・・今度は絶対に・・・」
腕を差しのべるビョンホンから、一歩後ずさりながらハルカは呟いた。
「・・・あなたも、分かってないわ」
「ハルカ?」
「私は・・・父を置いて、どこにも行けない」
「!」
「あなただって、捨てられないもの・・たくさん持っているでしょう?」
「・・・ハルカ」
「だから、ダメなの・・・あなたに何かを捨てさせて、私は幸せになんてなれない・・・絶対に」
最後は、涙に呑まれて言葉にならない。
再び涙を流すハルカを、引き寄せて抱きしめる。
大切なものを失いかけた彼女は、臆病になっているのだろう。
そんな時、どんな言葉をかければいい?
ビョンホンは、ひとつひとつ慎重に言葉を選んでハルカに話しかけた。
「最初から、捨てることを前提で始めるのか?それじゃあ、何も始まらないよ・・・」
「?」
抱きしめた腕の中・・・
ハルカが涙を拭って自分を見上げているのを感じながら、話を続ける。
「君の、その小さな手じゃ・・・大切なものが毀れそうで不安だろう?両手ではどう?大切なものが毀れる不安は減るはずだ。じゃあ・・・こうすれば?」
ビョンホンは、大きくあたたかな両手で、ハルカの手を包み込んだ。
「こうすれば、もっと安心だ・・・ひとりじゃ持てない物も二人なら・・・二人で支えあえば、きっと大丈夫。そう思わないか?」
「でも・・・」
(あたたかい・・・)
自分の手を包む大きな手に、ハルカの心が揺れる。
「でも・・・?」
「いつも・・・こうしていられる訳じゃないでしょう?」
「そうだな・・・いつもこうしていられたら、どんな良いだろう?こんな風に一緒にいられたら・・・」
「ハルカ・・・君は、僕が嘘つきだと思うかい?そしてハルカは、嘘つきなの?」
その言葉の意味が、すぐには理解できなかった。
少しずつ、自分の気持ちに、彼の言葉が沁み込んでいく。
ずっと、絶望でしぼんでいた・・・
もう、傷つきたくない・・・
その一心で閉ざしていた心に、ビョンホンは何の迷いもなく飛び込んできた。
優しい眼差しで見つめられる心地良さに、胸が高鳴る。
何度も首を横に振りながら、ハルカは、不思議そうな表情を浮かべていた。
「覚えてるよ・・・君の言葉・・・忘れられなかった。離れている時間が長くなればなるほど、胸に刻まれていくようだったんだ」
「・・・・・・」
「君は、言ったよね?僕に抱きしめられると、幸せすぎて胸が苦しくなる・・・僕に見つめられると、体が熱くなって呼吸をすることさえ忘れてしまいそうだって・・・」
「あれは?全部、嘘だったの?」
「違うわ!」
「じゃあ・・・今は?こうして君を抱きしめている・・・僕の気持ちは、きっとあの時よりも熱いよ。僕の気持ちは見える?」
しっかりと視線が絡んだ瞬間、ハルカは顔をそむける。
ビョンホンは、顎をすくうように自分の方にハルカの顔を向けた。
「君を待ってた・・・僕の気持ちは変わっていないよ。君は・・・・・・?ちゃんと見せて欲しい。君の心の中・・・」
「無理だって、決め付けてしまう前に・・・もう一度、ちゃんと話そう。ダメだと思ったら、別の方法を探せばいい。きっと、ハルカと二人なら出来るから・・・」
「でも・・・」
「君の気持ちは?もう、気持ちが無くなったのなら・・・僕は、ココにいるべきじゃない・・・」
そこで言葉を切り、自分を見下ろす悲しみの影を浮かべる、セピアの瞳。
とても近く・・・お互いの表情が見て取れる。
(・・・私の気持ち?)
ハルカは、突然の問いに心を揺さぶられていた。
自分の気持ちに気づかない振りをしていた、この1年・・・
心から笑うことも、泣くこともなかった。
今・・・
抱きしめられるその腕の力強さに、胸が熱くなる。
26話、読んで下さってありがとうございます♡
★歌手フィソン イ・ビョンホンとも仲良し?
少し前のものなので、みなさん、もうご存知のニュースでしょうが・・・
「僕も好きでした」なんて、悪戯な表情で言ったのかなって、笑えたので・・・
いろんな情報を知るたびに、こんな顔で・・・
こんな声で言ったのかな・・・?
想像が膨らみます。
それが、創作に繋がっているような気がします・・・(*/////▽/////*)
「僕も好きでした」言われてみたいですよねヾ(≧ω≦)o
パソコンに向かうと、睡魔に襲われる私・・・
昨日も、パソ前で椅子に座ったまま意識がなくなり・・・
ハッと目覚めた時には、背中が痛くて・・・(TーT)
まだ、とっても痛みます。
26話も書けていたけれど、推敲&画像が出来なくてお待たせしてしまいました。
ちょっと中途半端な感じですが、続きも頑張ります♪
いきなり声を荒げたビョンホンに、ハルカは身を竦めた。
「そうじゃない・・・違うんだ・・・」
ライトアップされた桜を見上げ、視線を彷徨わせたビョンホンは
大きく息を吐いて呼吸を整えた。
「君がいないことが、僕のためになる?」
「・・・・・・」
「どうしてそんなことを?・・・君は、何も分かってない」
「・・・・・・」
視線をそらすハルカに、いつもの低く静かな声でビョンホンが語りかける。
「春になるといつも思い出すんだ。この乾いた空気、甘ったるい春の匂いに。昔・・・僕は、大切なものを手放した」
「?」
「あの頃の僕は・・・大人の事情も分からず、大切な人に何も言えないまま見送ったんだ」
「子供だから・・・何もできないのは、当たり前だけれど・・・」
「何かを手放す辛さは、その時も・・・それからも十分に味わってきた。だから・・・」
「放さない・・・今度は絶対に・・・」
腕を差しのべるビョンホンから、一歩後ずさりながらハルカは呟いた。
「・・・あなたも、分かってないわ」
「ハルカ?」
「私は・・・父を置いて、どこにも行けない」
「!」
「あなただって、捨てられないもの・・たくさん持っているでしょう?」
「・・・ハルカ」
「だから、ダメなの・・・あなたに何かを捨てさせて、私は幸せになんてなれない・・・絶対に」
最後は、涙に呑まれて言葉にならない。
再び涙を流すハルカを、引き寄せて抱きしめる。
大切なものを失いかけた彼女は、臆病になっているのだろう。
そんな時、どんな言葉をかければいい?
ビョンホンは、ひとつひとつ慎重に言葉を選んでハルカに話しかけた。
「最初から、捨てることを前提で始めるのか?それじゃあ、何も始まらないよ・・・」
「?」
抱きしめた腕の中・・・
ハルカが涙を拭って自分を見上げているのを感じながら、話を続ける。
「君の、その小さな手じゃ・・・大切なものが毀れそうで不安だろう?両手ではどう?大切なものが毀れる不安は減るはずだ。じゃあ・・・こうすれば?」
ビョンホンは、大きくあたたかな両手で、ハルカの手を包み込んだ。
「こうすれば、もっと安心だ・・・ひとりじゃ持てない物も二人なら・・・二人で支えあえば、きっと大丈夫。そう思わないか?」
「でも・・・」
(あたたかい・・・)
自分の手を包む大きな手に、ハルカの心が揺れる。
「でも・・・?」
「いつも・・・こうしていられる訳じゃないでしょう?」
「そうだな・・・いつもこうしていられたら、どんな良いだろう?こんな風に一緒にいられたら・・・」
「ハルカ・・・君は、僕が嘘つきだと思うかい?そしてハルカは、嘘つきなの?」
その言葉の意味が、すぐには理解できなかった。
少しずつ、自分の気持ちに、彼の言葉が沁み込んでいく。
ずっと、絶望でしぼんでいた・・・
もう、傷つきたくない・・・
その一心で閉ざしていた心に、ビョンホンは何の迷いもなく飛び込んできた。
優しい眼差しで見つめられる心地良さに、胸が高鳴る。
何度も首を横に振りながら、ハルカは、不思議そうな表情を浮かべていた。
「覚えてるよ・・・君の言葉・・・忘れられなかった。離れている時間が長くなればなるほど、胸に刻まれていくようだったんだ」
「・・・・・・」
「君は、言ったよね?僕に抱きしめられると、幸せすぎて胸が苦しくなる・・・僕に見つめられると、体が熱くなって呼吸をすることさえ忘れてしまいそうだって・・・」
「あれは?全部、嘘だったの?」
「違うわ!」
「じゃあ・・・今は?こうして君を抱きしめている・・・僕の気持ちは、きっとあの時よりも熱いよ。僕の気持ちは見える?」
しっかりと視線が絡んだ瞬間、ハルカは顔をそむける。
ビョンホンは、顎をすくうように自分の方にハルカの顔を向けた。
「君を待ってた・・・僕の気持ちは変わっていないよ。君は・・・・・・?ちゃんと見せて欲しい。君の心の中・・・」
「無理だって、決め付けてしまう前に・・・もう一度、ちゃんと話そう。ダメだと思ったら、別の方法を探せばいい。きっと、ハルカと二人なら出来るから・・・」
「でも・・・」
「君の気持ちは?もう、気持ちが無くなったのなら・・・僕は、ココにいるべきじゃない・・・」
そこで言葉を切り、自分を見下ろす悲しみの影を浮かべる、セピアの瞳。
とても近く・・・お互いの表情が見て取れる。
(・・・私の気持ち?)
ハルカは、突然の問いに心を揺さぶられていた。
自分の気持ちに気づかない振りをしていた、この1年・・・
心から笑うことも、泣くこともなかった。
今・・・
抱きしめられるその腕の力強さに、胸が熱くなる。
26話、読んで下さってありがとうございます♡
★歌手フィソン イ・ビョンホンとも仲良し?
少し前のものなので、みなさん、もうご存知のニュースでしょうが・・・
「僕も好きでした」なんて、悪戯な表情で言ったのかなって、笑えたので・・・
いろんな情報を知るたびに、こんな顔で・・・
こんな声で言ったのかな・・・?
想像が膨らみます。
それが、創作に繋がっているような気がします・・・(*/////▽/////*)
「僕も好きでした」言われてみたいですよねヾ(≧ω≦)o
パソコンに向かうと、睡魔に襲われる私・・・
昨日も、パソ前で椅子に座ったまま意識がなくなり・・・
ハッと目覚めた時には、背中が痛くて・・・(TーT)
まだ、とっても痛みます。
26話も書けていたけれど、推敲&画像が出来なくてお待たせしてしまいました。
ちょっと中途半端な感じですが、続きも頑張ります♪
by pink_pink_opal
| 2007-10-31 17:20
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