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2007年 08月 18日
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「スジョンさん?」
「・・・ハルカ~?ゲンキデシタカ?」
「えっ?日本語?どうして?スジョンさん、すごいわ!」
「ン~、ジカンガイッパイデキテ、ベンキョウシマシタ。OK?」
「OK!本当にすごいわ、他には?」
「エェ~?・・・」
薄いパーテーションを挟んで、二人のはしゃぐ声が聞こえる。
(・・・ハルカ?)
あの朝と変わらないその声に、胸が締め付けられるようだった。
何度か深呼吸を繰り返す。
そして、スジョンを呼び寄せた。
「スジョン!・・・」
「すぐ行きます!」
「オッパ・・・何ですか?取材の方が来ましたよ。入ってもらっても?」
「いや・・・今は・・・」
「じゃあ、そう伝えます。大丈夫ですか?」
「・・・ん?」
「オッパも緊張してるんですね?他には?何かあったら言って下さいね・・・」
「あぁ・・・」
「私は、オッパと一緒の車で行きますから・・・」
もう、そろそろ会場入りする時間だった。
スジョンが出て行った後も、ザワザワしていた心に耐えられず、立ち上がる。
しばらく経ってそっと隣を覗くが、誰もいなくなっていた。
「・・・ハルカ?本当にハルカだったのか?」
また気づかぬうちに、ため息を繰り返していた。
「まただ・・・」
今日は、そうでなくても緊張しているというのに・・・つくづくタイミングが悪い。
今、彼女の顔を見てしまったら、こうして立っていられなくなる気がした。
自分の心の揺れから、目をそむけようとしていることに、苦笑する。
「落ち着け・・・」
そう呟いてみた。
何か・・・やっぱりいつもの自分と違うのは、彼女のせいなのか?
それとも、これからへの緊張感か?
「・・・ヒョン、そろそろ出ます!!」
スタッフの声に、もう一度だけ大きく息を吐いた。
今は、彼女のことを忘れよう・・・
少しでも気持ちを集中しよう・・・
「分かった・・・すぐ行くから」
ぎゅっと目を閉じる。
周りの音が一瞬だけ消えた。
「行こう・・・待っている人たちのために・・・」
深く息を吸い、顔を上げてドアを開ける。
車のドアが開かれると、自分の名前を呼ぶ黄色い声が飛び込んでくる。
「ビョンホンシ~~~」
「客席の方から見てますからね!オッパ、ファイティン!」
自分の方に突き出されたこぶしに、硬く握ったこぶしを合わせた。
「あぁ・・・行ってくる」
「ビョンホンシ~~~」
レッドカーペットを歩きながら、声援の方に向いて軽く手を挙げた。
「キャーーーッ、ビョンホンシ~」
「オッパーーー」
ファンの声援に、背中を押されるように、これから授賞式が行われる
南山国立劇場の階段を駆け上がって行く。
絶え間ないカメラのシャッター音に、身の引き締まる思いがした・・・
そんな時、ふいに感じた視線・・・?
無意識のうちに、その視線の元を辿っていく。
(ハルカ・・・?)
長かった髪が、彼女の肩辺りで揺れている。
・・・それ以外は、1年前と何も変わらないようにも見えるが・・・少しだけ痩せたのか?
まっすぐに自分へと向けられる眼差しに、一瞬にして周りのざわめきが消えた・・・
見つめ合ったほんの数秒・・・
ピタリと止まってしまった足・・・
何もかもを振り切るように、歯を食いしばる。
振り返って、自分を見上げているファンに手を挙げる。
会場に入るまで、もう彼女を見ることはなかった。
(終わったことだ・・・すべては、彼女が選んだこと・・・)
「オッパ!主演男優賞おめでとうございます!!」
「ありがとう、スジョン」
「オッパが獲るって思っていても、胸がドキドキして息が止まりそうでした」
「俺が獲るって?」
「えっ?オッパに決まっていたんじゃないんですか?」
「そんな訳ないだろう?まったく・・・スジョンは何を言い出すんだ?」
「いやだ・・・私ったら、オッパに決まってるんだとばかり・・・」
「・・・・・・?」
大きな口を開けて笑うスジョンの表情に、肩の力が抜けて緊張の糸が解けてきたのを感じる。
こうして賞を受賞するのは、何度目だろう?
賞を獲ることに、こだわっているつもりはないが・・・
自分自身、納得いくまで取り組んだ作品が、こうして評価される・・・
その喜びは格別で何とも言えず、誇らしい気持ちになった。
「オッパ、今夜は打ち上げですよ~」
「スジョンも行くのか?」
「私?私は、ほんの少しだけ・・・だって早くドンワンのところに帰らないと・・・」
「そうか・・・また、日を改めてスジョンもゆっくりできる時に・・・」
「本当ですか?その時は、ドンワンも連れて行きますよ」
「あぁ・・・楽しみにしているよ」
「そうだ!今夜の打ち上げの場所は、去年オッパが教えてくれた焼き肉屋ですから・・・」
「あの店・・・予約できたのか?」
「はい!オッパに決まりだと思っていたんで・・・無理を言ってお願いしました・・・」
「スジョン・・・」
「私は、準備もあるので先に行ってますから、オッパは他のスタッフと一緒に・・・」
「あぁ・・・着替えたら行くよ」
「じゃあ・・・お先に・・・」
控え室を飛び出して行くスジョンを目で追いながら、なぜか心が沈んで行くのを感じていた。
(また・・・)
いつの間にか、彼女のことを思っている・・・自分。
俺っていう奴は・・・自分自身に呆れ果てていた。
忘れたと思っていたはずの彼女の出現で、こんなにも心を掻き乱されるなんて・・・
これまでには、なかったことだった。
俺は・・・ちゃんと、公私を分けることが出来るはずじゃなかったのか?
それなのに・・・このざまだ。
まだ声を聞いて、その姿を見ただけだというのに・・・
明日は、彼女の取材があるというのに・・・
そんなことをぼんやりと考えながらも、着替えをすませて打ち上げの会場に向かった。
もう、何ものにも心を乱されてはならないと・・・
流れるイルミネーションを目で追いながら、心に固く誓っていた・・・
「・・・ハルカ~?ゲンキデシタカ?」
「えっ?日本語?どうして?スジョンさん、すごいわ!」
「ン~、ジカンガイッパイデキテ、ベンキョウシマシタ。OK?」
「OK!本当にすごいわ、他には?」
「エェ~?・・・」
薄いパーテーションを挟んで、二人のはしゃぐ声が聞こえる。
(・・・ハルカ?)
あの朝と変わらないその声に、胸が締め付けられるようだった。
何度か深呼吸を繰り返す。
そして、スジョンを呼び寄せた。
「スジョン!・・・」
「すぐ行きます!」
「オッパ・・・何ですか?取材の方が来ましたよ。入ってもらっても?」
「いや・・・今は・・・」
「じゃあ、そう伝えます。大丈夫ですか?」
「・・・ん?」
「オッパも緊張してるんですね?他には?何かあったら言って下さいね・・・」
「あぁ・・・」
「私は、オッパと一緒の車で行きますから・・・」
もう、そろそろ会場入りする時間だった。
スジョンが出て行った後も、ザワザワしていた心に耐えられず、立ち上がる。
しばらく経ってそっと隣を覗くが、誰もいなくなっていた。
「・・・ハルカ?本当にハルカだったのか?」
また気づかぬうちに、ため息を繰り返していた。
「まただ・・・」
今日は、そうでなくても緊張しているというのに・・・つくづくタイミングが悪い。
今、彼女の顔を見てしまったら、こうして立っていられなくなる気がした。
自分の心の揺れから、目をそむけようとしていることに、苦笑する。
「落ち着け・・・」
そう呟いてみた。
何か・・・やっぱりいつもの自分と違うのは、彼女のせいなのか?
それとも、これからへの緊張感か?
「・・・ヒョン、そろそろ出ます!!」
スタッフの声に、もう一度だけ大きく息を吐いた。
今は、彼女のことを忘れよう・・・
少しでも気持ちを集中しよう・・・
「分かった・・・すぐ行くから」
ぎゅっと目を閉じる。
周りの音が一瞬だけ消えた。
「行こう・・・待っている人たちのために・・・」
深く息を吸い、顔を上げてドアを開ける。
車のドアが開かれると、自分の名前を呼ぶ黄色い声が飛び込んでくる。
「ビョンホンシ~~~」
「客席の方から見てますからね!オッパ、ファイティン!」
自分の方に突き出されたこぶしに、硬く握ったこぶしを合わせた。
「あぁ・・・行ってくる」
「ビョンホンシ~~~」
レッドカーペットを歩きながら、声援の方に向いて軽く手を挙げた。
「キャーーーッ、ビョンホンシ~」
「オッパーーー」
ファンの声援に、背中を押されるように、これから授賞式が行われる
南山国立劇場の階段を駆け上がって行く。
絶え間ないカメラのシャッター音に、身の引き締まる思いがした・・・
そんな時、ふいに感じた視線・・・?
無意識のうちに、その視線の元を辿っていく。
(ハルカ・・・?)
長かった髪が、彼女の肩辺りで揺れている。
・・・それ以外は、1年前と何も変わらないようにも見えるが・・・少しだけ痩せたのか?
まっすぐに自分へと向けられる眼差しに、一瞬にして周りのざわめきが消えた・・・
見つめ合ったほんの数秒・・・
ピタリと止まってしまった足・・・
何もかもを振り切るように、歯を食いしばる。
振り返って、自分を見上げているファンに手を挙げる。
会場に入るまで、もう彼女を見ることはなかった。
(終わったことだ・・・すべては、彼女が選んだこと・・・)
「オッパ!主演男優賞おめでとうございます!!」
「ありがとう、スジョン」
「オッパが獲るって思っていても、胸がドキドキして息が止まりそうでした」
「俺が獲るって?」
「えっ?オッパに決まっていたんじゃないんですか?」
「そんな訳ないだろう?まったく・・・スジョンは何を言い出すんだ?」
「いやだ・・・私ったら、オッパに決まってるんだとばかり・・・」
「・・・・・・?」
大きな口を開けて笑うスジョンの表情に、肩の力が抜けて緊張の糸が解けてきたのを感じる。
こうして賞を受賞するのは、何度目だろう?
賞を獲ることに、こだわっているつもりはないが・・・
自分自身、納得いくまで取り組んだ作品が、こうして評価される・・・
その喜びは格別で何とも言えず、誇らしい気持ちになった。
「オッパ、今夜は打ち上げですよ~」
「スジョンも行くのか?」
「私?私は、ほんの少しだけ・・・だって早くドンワンのところに帰らないと・・・」
「そうか・・・また、日を改めてスジョンもゆっくりできる時に・・・」
「本当ですか?その時は、ドンワンも連れて行きますよ」
「あぁ・・・楽しみにしているよ」
「そうだ!今夜の打ち上げの場所は、去年オッパが教えてくれた焼き肉屋ですから・・・」
「あの店・・・予約できたのか?」
「はい!オッパに決まりだと思っていたんで・・・無理を言ってお願いしました・・・」
「スジョン・・・」
「私は、準備もあるので先に行ってますから、オッパは他のスタッフと一緒に・・・」
「あぁ・・・着替えたら行くよ」
「じゃあ・・・お先に・・・」
控え室を飛び出して行くスジョンを目で追いながら、なぜか心が沈んで行くのを感じていた。
(また・・・)
いつの間にか、彼女のことを思っている・・・自分。
俺っていう奴は・・・自分自身に呆れ果てていた。
忘れたと思っていたはずの彼女の出現で、こんなにも心を掻き乱されるなんて・・・
これまでには、なかったことだった。
俺は・・・ちゃんと、公私を分けることが出来るはずじゃなかったのか?
それなのに・・・このざまだ。
まだ声を聞いて、その姿を見ただけだというのに・・・
明日は、彼女の取材があるというのに・・・
そんなことをぼんやりと考えながらも、着替えをすませて打ち上げの会場に向かった。
もう、何ものにも心を乱されてはならないと・・・
流れるイルミネーションを目で追いながら、心に固く誓っていた・・・
こんにちは~♪
いっぱいお休みしたのに・・・
事情がアレだったりしたから、ぜんぜん書けていなくて・・・
早く書きたいと焦る気持ちと、ブレーキをかける気持ち。
いろいろと、揺れ続けています。
でも、もうこんなことがないように・・・
労わりながら・・・ゆったりまったり、歩いていこうと思います。
たくさんのお見舞い、ありがとうございました♡
もう、元気ですからね~ヾ(≧▽≦)ノギャハハ(たぶん・・・笑)
レスは、もう少し遅れます。
ごめんなさい(ToT)ゞ
by pink_pink_opal
| 2007-08-18 01:29
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