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kirakira na toki

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Crescent...16
2007年 01月 11日 |
私は夢を見た。

夢の中で、いつも悲しそうな表情を見せていた悠基が…
今夜は、初めて昔のままの笑顔を、私に向けている。

毎夜見る夢の中で、私は悠基に謝り続けていた。
「ごめんね、悠基。私を赦して・・・」
そんな私を見て、悠基はいつも悲しい笑顔を浮かべる。

今日も夢の中で呟く私に、いとおしむ様な笑顔を見せて、頷いてみせる。
「もう、大丈夫だね?玲那」
「何?悠基、何が言いたいの?悠基!」
駆け寄る私に、もう一度だけ微笑んで「もう君は、ひとりじゃないよ…」そう言って遠ざかる。
「ねぇ、悠基…行かないで、ここにいてよ」
「僕の…役目は終った…んだよ・・・玲那」

優しく包み込むような、私の好きだった笑顔がまぶしい光の中に消えてしまった。








私は、悠基の名前を呼ぶ自分の声で目覚めた。
見回すと、厚いカーテンの合わせ目から見える窓ガラスの外は、まだ暗い。

背後から私の胸元に回されている筋肉質な腕に、昨夜からの現実を突きつけられた気がした。
私・・・なんて事をしてしまったんだろう。
小さなため息をつきながら、彼を起こさないようにそっと腕から抜け出そうとした。
でも、動けば動くほど彼の腕は、きつく私を抱き寄せているように感じる。

(起きているの?)
彼の様子をうかがってみるが、起きている気配はない。
少しずつ動いているうちに、私は彼の正面に向き合う形になっていた。

本当にこの人は、イ・ビョンホンなんだよね?
夢なんじゃないかとも思う。
でも、体中に残る彼からの愛のしるしが私に夢ではないと告げていた。
「誰でもいいから韓流スターに会えるといいね。まぁ、99%不可能だけどね」
出発前に三沙子が言っていた言葉を思い出した。
どうしよう?三沙子、1%の奇跡が私に起きたみたいだよ。
でも…言っても信じてくれないよね・・・こんなこと、起きるはずないって私も思っていたもの…

(キレイな寝顔…でも、安心しきってるみたい…ちょっとかわいいかも・・・)
そんなことを考えていると、彼の唇がかすかに動いた。
「・・・・・・・レイナ・・・」
ハングルは分からないが、最後に私の名前を呟いている。
(彼は、どんな夢を見ているんだろう?)
夢の中の私が、笑っているといいのに・・・そんなことを思いながら、私は再び目を閉じた。
いつまで続くか分からないけれど、今この瞬間(とき)の幸せに浸っていたいから。

しばらく彼の規則正しい寝息を聞いていたけれど、いつの間にか私は、また寝入ってしまったようだった。

私は、夢の中でもう一度…彼に愛されていた。
夢の中の私は驚くほど大胆で…彼の愛撫に応え、自分から彼の体に口づけていた。
滑らかな肌のすべてに、自分のしるしをつけるかのように…少しの隙間もなく、唇を這わせていく。
見下ろすと、彼が熱いまなざしで見つめている。
その瞳に勇気付けられるように、私は深く熱い愛撫を繰り返していた。

(…夢なの?こんな夢を見るなんて…)
急に恥ずかしくなったのと同時に、眠りの国から私の意識が戻って来た。
体が熱い・・・!?
いいえ…全身がまるで愛を受けている瞬間のように熱く燃えていた。
リズミカルに揺れ動いている自分に気づく。

そっと目を開けると、彼が熱っぽい眼差しで見下ろしていた。
(私・・・?)
「キスダケノツモリダッタノニ…キミノコエヲキイテイタラ、トマラナクナッテシマッタ」
「・・・あっ」
「レイナ・・・」
私たちは、ほぼ同時に上りつめていた。


乱れた彼の息が、おでこにかかる。
「オコシテシマッタネ?」
見上げると、彼が悪戯っぽく微笑んでいる。
「一度起きていたの。でも、とってもあなたの腕の中が居心地よくて…また眠ってしまったみたい」
「キミノネガオガミラレテ、ヨカッタ」
「…恥ずかしいよ」
彼が体を起こしたので、私もシーツを押さえながら、彼に並ぶように体を起こした。
「レイナ…ボクハ、モウイカナクテハナラナインダ」
ベッドサイドの腕時計を見ながら、彼が言う。
「分かってる…仕事だって言っていたものね」
「・・・ボクハ、キミトスゴシテタノシカッタヨ」
・・・別れの言葉なんだね、やっぱり。
なるべく明るい声色で、無理に作った笑顔の私は彼を見つめる。
「私も…楽しかったわ。外国だし、本当はひとりきりで心細かったの。でも、あなたと出逢ってワクワクして楽しかった…韓国に来て良かった」

「イツマデ…カンコクニイラレルノ?」言葉を選ぶように、彼が言った。
「あし・・・明後日までよ」
「アサッテ?アサッテハ、イツマデ?」
「う~んと、明日の明日。分かる?」
彼は、アシタノアシタと呟いていたが、理解できたようでニッコリ微笑んだ。

涙で彼のキレイな笑顔が、ぼやけてきた。
うつむいて涙を隠したけれど、不自然だったかな…気づかれなかっただろうか?

「・・・・・・キョウハ、オソクナルケレド、キットココニモドッテクルカラ…マッテイテ」
「えっ?」私は、顔を上げて彼を見た。

その瞬間、我慢していた涙が、こぼれて頬を伝っていった。
by pink_pink_opal | 2007-01-11 00:59 | Crescent |